新幹線

今は土曜日の昼間、夕方ではないことは、もちろん理由がある。新幹線の中である。以前に書いたように今週は毎日外出している。フリーランスの身にしては珍しい。午前中に神戸で講演があって、12時半に終わってすぐに新幹線で帰宅する予定で、その通り進行している。ただ、今朝は驚いた。朝5時半に自宅を出て5時40分の西武電車に乗って、東京駅で余裕を持って新幹線に乗るつもりだった。できれば、おにぎりとお茶を買って車中で朝食をと思っていたが、今朝予感があって自宅で食べた方がよいと思ったので、卵かけご飯を食べてきた。池袋の駅で、これも直観があって、新幹線の切符はここで買った方が良いと思って、自動販売機で処理をして驚いた。指定席もグルーン席まで満席ではないか、自由席だけ選択可能な緑色だった。東京駅でまた驚いた、ホームが人で溢れている、何かあったのですかと聞いたら、何しろ3連休の初日の朝ですからという返事だった。7時ちょうどの「のぞみ」なのだ、そうか世間ではそうなのだ、観光客であふれていて、仕事で出かける人は少ないのだ、そういえばネクタイはしていないがスーツを着ているのは、自分くらいでほとんど見かけない。フリーランスとはこのことか、と初めて自覚した。しかも今年から「のぞみ」の自由席が3両から2両に減った。その2両の入り口には長蛇の列がつながっている。待ってくれ、これでは東京駅から新神戸駅まで2時間41分も立ちっぱなしではないか、11時からの講演はどうするのだ、30分前には会場に着くという約束だったので、余裕がないのだ。それでなくても朝5時半に自宅を出てきたのだ、自分は新幹線の中の恐ろしい光景が目に浮かんだ。実際に自由車両は通路まで人とバゲージと大勢の外国人観光客も交じって、まるでラッシュの山手線の形相だった。場内アナウンスも、今日は大混雑ですのでお気をつけてと言っていたが、同時に席を変えることはできません、グリーン席も満席ですと無常の音声が流れていた。後ろから押されるままに、自由席車両の真ん中あたりに進んだら、奇跡が起きた。3列席の通路側の席を指差して、若い男女がどうぞと言った。女性は窓側席にいて、男性が通路側席から2つのバゲージを棚に上げようとしていて、ちょうど収まったところだったので、通路側席が空いたのだ。そこに自分が通りかかった。ありがとうございますと感謝の言葉を言ったのは言うまでもない。自分はパソコンの入ったリュック1つだから身軽なのだ。席に座って周囲を見たら、立ちながらお握りを食べている人もいる。無理もない、朝7時発の新幹線なら、朝食抜きで自宅を出ただろうから、満員新幹線での朝食なのだ。それでも若い人なら、遊びだから我慢してもらおう。自分は新神戸に着いてすぐ帰りの新幹線の切符を買った。。もちろん指定席である。無事80分の講演も終わり、今帰路についている。遠く文脈は離れるが新聞に、娘の夫のブログを読みて距離あれど暮らしぶり見え密かに安堵(伊藤英子)の句があった。もしこのブログを自分の家族が読めば、安堵するだろう。いや、たぶん何も気にしていないだろう。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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