クリスマスイブ

今は火曜日の夕方ではなく、時刻も遅くなり夜である。先ほど赤坂の事務所から帰宅したばかりである。年末ともなれば来客もあり、オンラインだけでは用は足せず、午後に出かけた。話が少し長引いたせいか、帰宅時間が多少遅れた。池袋での電車の乗り継ぎのタイミングが悪く、予定時刻より遅くなったのだが、それも仕方がない。今日の来客は第一線の企業で働いている、というか戦っているというか、社員というより昔流行った企業戦士と呼ぶ方がふさわしい人だった。自分の立場は団体役員なので、それに比べれば、申し訳ないが少し気楽と言って良いだろう。団体にも、収支決算や予算があり貸借対照表も企業と同じように作って理事会に出しているが、その数字の重みは企業とはかなり違うだろう。その意味で企業の方は、素直に偉いなあと思う。自分にはできないような仕事をこなしているだけで、尊敬に値する。企業は短期的には営業利益を上げなければならないので、その数字に目が行く。それは結果としての数字であり、ある面で冷たい姿であり、優しく微笑むようなものではない。したがってどうしても結果主義や業績主義になりやすいのだ。学校文化は、どちらかというと数字に振り回されることを嫌い、結果だけを重視することもなく、むしろプロセスを大切にする。そういう文化に慣れてきた身にとっては、企業の人とは少し距離がある。しかし自分は、先に書いたようにむしろ尊敬しているような気持ちを持っているので、たぶんそれが相手にも伝わるのかもしれない。だから今日の面談は、長引いた。それは丁丁発止の商談をまとめる厳しさではなく、一年もこれで終わりなのかという、ほっと一息つくような対面であった。自分は月に2回ほどオンラインの対談をホストとしてやっているが、ゲストの人が企業の方であると、いつもすごいと感じている。いや企業だけではなく、省庁のスタッフ、学校の先生や学者など、さまざまな立場の人が登場しているが、オーバーに言うといつも感動がある。それは人生をかけているような真剣さや努力の足跡が見えるからである。新聞に、缶コーヒー両手で包み指ほぐす路上ライブのギターの少女(峰尾秀之)の句があった。駅前などで自分も何回か見かけたことがあるが、この少女も夢を追いかけ、厳しい寒さでかじかんだ指を缶コーヒーで温めながら路上ライブを行っているのであろう。NHKの紅白に出れることは、よほどの偶然としか言えないような世界で、もがいているのかもしれない。いや本人は偶然ではなく成功への道を信じて、頑張っているのだろう。今日はクリスマスイブ、駅前にはクリスマスケーキを山積みにしたお店があって、ジングルベルの音楽が流れていた。家路を急ぐ人、家族団らんの時をすごす人、路上ライブで夢を追いかける人、今夜は様々な人間模様を見たような気がした。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

コメントを残す