ロマンと現実

今は土曜日の夕方、といっても窓から見る外は、夏空で気温が高いので窓を開けっ放しにしている。休日といっても平日と変わらない生活なので特筆すべき事はないが、やはり週末は気が楽である。窓から入ってくる涼しい風が心地よく、今週も終わって月曜からまたいろいろなことが始まるのかと思う。今週の水曜日は、自分が所属している団体のオンラインセミナーが隔週にあって、毎回ゲストをお呼びして自分がホスト役を務めているイベントがあった。今回は、ある省庁のトップクラスの官僚がゲストで、興味深い話を聞かせてもらった。夕方だが、30分がゲストのプレゼン、30分が自分との対談を含んだ質疑応答の時間である。文部科学省なら、ほぼ背景が分かるのだが、この省庁、隠すこともないので、デジタル庁なのだが、自分の知識が不足しているせいか、逆に大変興味深かった。どの省庁でも同じなのだが、国を背負っている意識があって、枠組みが幅広く論理的でしかも根拠に基づいたプレゼンなので、参加者を完全に納得させた。自分もなるほどと何度も頷いた。その翌日つまり木曜日に、市内の3校からなる運営協議会という会議があって参加した。チーム学校というか、地域が学校を支援する、もしくは運営母体の役割を果たすような位置づけで、これまでの文部科学省をトップにした階層構造から脱却しようという制度だと聞いている。小学校2校中学1校からなる合同組織なので、それぞれの学校の概要説明を校長先生がされたが、これもまた大変興味深かった。さすが校長先生はよく学校を把握しており、長所も短所も現実の厳しさも知りつつ、地域住民の意見を聞きそれを反映する難しい役目なのだが、実に見事な応答で誰もが納得した。テレビで報道している国会討論よりもはるかに深い議論だと、自分には思えた。そして何故だろうかと考えた。デジタル庁の話も校長先生の話も、自分にはマネができない深い内容で、誰にでも聞かせてみたいような気がした。ただ枠組みは違うことは分かった。一方は国レベルまたはあるべき姿の論である。他方は現実という厳しい状況の中で学校運営をするので、揺れ動く心情に誰もその通りだと賛同した。新聞に、キャンプ張るロマンチストとリアリスト(あらゐひとし)の句があった。キャンプに行くと、星の美しさに魅せられてロマンを語る夜がある、一方では怪我のないように料理が時間通りにできるように、トラブルが起きないように、などの現実の気苦労もあるだろう。キャンプに行けば、確かにロマンと現実の両面がある。教育の議論も同じだろう。あるべき姿や理想の姿やロマンを求める必要もあり、同時に現実の姿も考慮しなければ空論になってしまう。それは理論と実践とも言い換えられるし、厳しいながらもすべての子どもの未来を信じる教師のロマンにも通じるだろう。省庁のトップも校長先生の目線も、その両方が必要なのか、自分も無力ながらそんな教育のお手伝いをしたい。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

コメントを残す