失敗を生かす

昨日は、3つのオンライン会議があって、内容もそれぞれ面白い。所属団体の事務局会議が、いつも楽しいのは、あまり他ではないかもしれない。学校でいえば職員会議が楽しいとか、大学では教授会が楽しいとか言っているようなものだが、自分に合っているのだろう。ふと、数日前の日曜朝刊で、堂場瞬一さんのインタビュー記事を思い出した。堂場氏は、新聞記者だったが、その頃から小説を書いていたが、胃潰瘍に苦しまされた。その痛みや医者通いのために、新聞記者生活を送ることが困難になって、退社した。始めは、スポーツ小説で売り出すが、想像するに、小説で生を営むのは並大抵ではなく、かなりの苦労をされたと思うが、徐々に小説家として地位を固めていく。やがて、警察小説のジャンルで、不動の地位を確立する。自分は、夕方お風呂から上がって夕食までの間、実際は15分程度だが小説を読んでいるが、今は、堂場さんの警察小説である。警察小説と言っても、その数が膨大で、よくこんなに多彩に小説が書けるものだと感心するが、それほど多作で知られている。氏は、振り返って言う。新聞記者を続けていれば、そろそろ退職の年齢に近い、その後どうするのか、自分の好きな小説を書きたいが、今の年齢でデビューするのは不可能だろう、とすれば、あの時胃潰瘍になったお陰で、今の作家生活ができる、すっかり胃潰瘍は治ったので、有難く、世の中が巣ごもり生活になったが、その生活も、作家にとっては当たり前なので、嬉しい、という趣旨だった。なるほど、病気をしたくない、苦しいことから逃れたい、失敗から逃げたい、と思うのは人情だが、自分の都合の悪いことが、むしろ今になってみれば、都合の良いことになると語っている。机の横に、失敗の科学の本がある、まだ読んでいないが、題名に惹かれて買った。自分も多くの失敗をしたが、今になってみれば、だから良かった、日常生活でも都合の悪いことも起きるが、だから良かったと思うことが、ほとんどである。あの時、失敗したので、今はみじめだ、不幸だ、と思うのは、どこかやり方を間違えている。失敗は、幸せに導く教師である。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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