現実と志の間

昨日の午前はオンライン会議があった、しかも重い会議である。内容は書けないので、別の感想を書こう。一昨日だったか、BS放送のNHKの番組を視聴した。今注目の渋沢栄一の生き方について、識者が語る番組で、大河ドラマとは別である。自分は、小説ですでに読んでいるので、筋書きは分かっているから、それをどう専門家が捉えるかに、興味があった。歴史学者、作家、脳科学者など多彩な顔ぶれで、その語りが視聴者を引き付ける。渋沢は若い頃は、倒幕派で徳川幕府を倒そうと奔走するが、縁あって一ツ橋慶喜の家臣になる、ここで、自分の志との葛藤があったが、その慶喜が、一ツ橋から徳川になって将軍になるが、ここで渋沢がひどく悩む。志と違う、倒そうとした幕府の側に立つ、ことで、自死まで考えたという。何をそこまで悩まなくても、とか、出世していいではないか、と庶民の感覚では思うが、識者の、それは現代人にも通用するという捉え方に、惹かれた。そうかもしれない、自分は長い間教育の仕事をしていて、どうも実践が分かっていない、なんとかしたい、科研費で研究したい、という思いは、本当に自分のしていることは、学校現場に役立っているのか、自己満足にすぎないのではないか、という素朴な疑問なのである。自分のしていることに意味があるのか、という問いは、生き方を規定する。前のブログでも紹介したが、NHKの朝ドラで、戦時中にお笑いの芝居をしていいのか、という思いで、主人公が悩むシーンがあったが、同じだろう。コロナ禍という国民の生命に関わることと、経済が下降して生活苦やDVやうつ病や自殺者が増えている、このジレンマの中で、為政者は、自分のしていることに意味があるのだろうか、と自問しながら苦吟しているようで、テレビ画面で見る菅総理の表情に、どこか哀切が漂う。庶民も、為政者も、管理職も、現実と志の狭間で、この仕事に意味があるのか、と問い続けているのではないだろうか。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

コメントを残す