卒業式の季節

昨日は定例のオンラインの事務局会議があり、平穏な1日だったが、私用で街に出かけた。駅で、晴やかな和服姿の若い女性たちを見たが、大学の卒業式の時期らしい。そうか、今は、卒業式なのだ、コロナであっても、変わらない、と思いながら、それとなく眺めたら、昔ながらの格好で、きれいな和服に袴を着けたブーツ姿である。ブーツは、明治か大正時代を連想させるので、かつてはハイカラな格好だったのだろうか、と思いながら、あまり見ると怪しまれるので、チラッと見ただけだが、マスクをしてスマホを触って、写真を撮っている、これが現代風かもしれない。思い出すと、学芸大も東工大も白鴎大も、確かに、この姿だった。全体的には、国立のほうが地味で、私学の方が晴やかなことは納得できるが、謝恩会は学内の生協食堂という東工大のスタイルには、嫌気がさして、教員も学生も、卒業式も謝恩会も出席率はよくなかった。生協食堂は、普段の昼食でも学生が敬遠するくらいのまずさだったから、謝恩会はいくら何でも、という思いがあった。だから、自分が専攻長をした年に、変えた。大学の前の中華料理店で謝恩会をして、学位記は、その場で専攻長が渡すというセレモニーの後は、飲食をしながらの研究室の隠し芸の時間にした。この日のために、どの研究室も芸を磨いてきたらしく、研究室の寸劇、教授によるサキソフォーン演奏、漫才や落語の出し物、物まね、剣舞に至るまで、これまで見たことのない盛り上がりだった。この年か、その前年度からか、東工大ブルーと称する紺色の帽子やマントなども着て、写真を撮る姿が、キャンパスに見られて、どこか晴やかになった。どんなに硬い研究をしている人でも、どこか他人に見せる特技を持っている、ということに気が付いた。あの助教が、あの教授が、あの学生が、まさか、こんな面白い特技をもっていたのか、という驚きを、誰もが持ったに違いない。どんな人でも、一皮むけば、可愛げのある面を持っていて、お互いに理解しあえる。自分が東工大の専攻長だった時の、楽しい思い出である。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

コメントを残す