音声認識と原稿書き

昨日は土曜日なのだが、生活パターンは平日と変わらないが、気分的にはゆったりしている。この気持ちが嬉しく、どこか口笛を吹きたくなるような心境になる。午前中は書斎で仕事、と言っても、昨日は原稿書きだった。ある出版原稿で、少しづつ書いているのだが、いろいろな仕事が入ってくるので、しばらくそのままにしておいた。昨日は少し一段落して時間ができたので、ファイルを取り出して続きを書こうと思った。その原稿は、正直に言えば、googleの音声入力を使うと、テキスト化が即座にできるので超便利だと思って、音声認識で作成したテキスト原稿なのである。その時も、いろいろな仕事を抱えていたので、出版原稿は後回しにしていたが、どうも気になるので、時間がないので、この超便利な音声入力で、とりあえずの原稿を作っておこう、と思って作成した。このことは、間違いではなく正しいだろう。気になることは、とりあえずでよい、雑でもよい、何か痕跡があれば、取り掛かりやすいからである。しかし、どうも、どこか気持ちの壁がある。時間が1時間あるから、すぐに取り掛かれるかと言えば、誰も経験しているように、人の脳は、機械のようにスイッチを簡単に切り替えることができない。どうしても、前の内容が脳の前頭葉に残っているようで、そこに壁を感じるのである。まして、口語体でテキスト化した原稿は、実際に書いたものと違うので、修正に時間がかかることに気が付いた。易しい原稿ならよいだろうが、出版となれば、それは多くの人に有料で読んでもらう文章であるから、気を引き締めないといけないと思って、少しもったいないような気がしたが、すべて削除して、初めから書き直した。これで、自分に正直になれた、と思ったら、書いている原稿が、萎れた花が雨の恵みを得て生気を取り戻したように、生き生きとしてきた。そうか、音声認識は、超便利ではあるが、使いどころによって、生きもし死にもする。改めて、テクノロジーと認知について、教えてもらった。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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