夜中に目が覚めて、どうしても眠れない時がある。誰にもあるだろう。気になることや、しなければならないことがあって、寝たまま脳が休んでいないので、それが覚醒させるという当たり前の現象である。午前2時に目が覚めて、どうしても寝付かれず1階の居間に降りて、あまり飲めないが、しかし毎日晩酌を楽しみにしている、氷にウイスキーを入れて飲むと、どこか安らぎがある。シラスとノリ、キュウリとシーチキンの組み合わせなど、ちょっとした家内の手作り料理を摘まみながら飲んでいると、昔の若かった頃を思い出す。誰でも学生の頃は、自由で気ままであり、そして何かに夢中になりながら、しかし心の内は自信がなく、彷徨しているような状態だったような気がする。しかし、時間はたっぷりあったから、12時前に寝ることは無かった。居間で一人飲んでいると、今自分は自由で、時間がたっぷりとあって、好きなことを考えて、例えば、短歌とか俳句とか歌詞とか小説とか作ってみようかなど、実現不可能なことでも夢想すると、それは空に飛び立つ羽根を持った鳥のような世界で、学生のような気持ちになる。若い頃は、希望や夢を持っているが、それは実現する可能性がほぼないことも知りながら、喜びと失望を繰り返して心が少しづつ成長して、大人への階段を上っていくのだろう。若いから、夢中になって追いかけ、そしてつまづき、少しずつ分別がついて、年齢を経て振り返ってみると、いいではないか、それなりに頑張ったではないか、と思えるようになる。夜中の一人酒は、その時代に戻るようだ。そして、まだ夢中になっている自分に、苦笑している。8月末か9月に出版する本に、今心が奪われている。
