学生の頃は物理を専攻したので最初の就職は、高校の物理の教師だった。自分には合っていて、研究は落ちこぼれのようだったが、教育が仕事の高校教師で生活できるのは幸せだった。ただ物理は文字通りモノのことわり、つまり理屈なので、どうしても頭で考え、理解しないと、すっきりしない。ところが、近年の高校生は物理を選択科目としない生徒が多く、物理教員は頭を抱えていると聞く。しかし社会に出てみると、物理的な思考方法で、あまり得をした経験がない。小学校の指導方法は、基本的に経験であり、いろいろ試行錯誤することから学んでいく方式が多い。頭で考えるより、手と足で学べ、という方法なのである。確かに、頭以上のことを学んでいる。このスタイルになかなか慣れなくて、苦しんだ。小学校の研究授業に呼ばれてコメントするのは難しく、今でもそれがコンプレックスなので、なるべく避けていた。しかし避けてばかりでは進歩がないので、実践から学ぶ、と頭を切り替えた。実践という重みに添ってみようか、と理屈から経験へと宗旨替えをして、多くの小学校の授業参観をする予定で、科研費も申請して採択された。しかし、世の中はままならず、コロナ禍のために予定がすべてキャンセルされた。これからという時に残念だが、仕方がない。来年を待って、実践の宝庫を探索してみたい。まだまだ、研究する楽しみは多い。
