岸恵子自伝

昨日は、オンラインと草取りとジョギングをして、シャワーを浴びて、夕食までのホッとして一息つく時間、15分位だったが、昨日のブログで書いた岸恵子自伝を読み終えた。興味ある方は、読まれると良い、お勧めの本である。表紙裏の紹介文にある言葉を借りれば、円熟の筆が紡ぎ出す芳醇な自伝、そのものである。君の名は、だけの有名女優を超えた、作家であり、中東・アフリカを命がけで取材をする国際ジャーナリストであり、演出家であり、娘思いの母親であり、孫を愛おしむ祖母でもある。すべてがドラマに満ちているような生き方で、その折々に見せる決断、勇気が、読む人を魅了する。驚くべき記憶力、そして言葉そのものが生きて読者に飛び込んでくる、時に、金波銀波の横浜生まれ、と手向かう相手に、啖呵を切る術も知っている。言葉が豊潤で、この人は古典も勉強したのか、と思うような古語も引用しているから、どこまで知性に溢れた人なのだろうか。娘が生まれて家庭生活が幸せの絶頂の時、孫が愛らしい瞳を輝かせ、その孫を抱いてあやしている時の幸せ感、その思いを綴っているが、そうか、この大物女優も、家庭の幸せが心を癒してくれるのか、それは、自分たち市井の人と、当たり前であるが、同じなのか。とすれば、自分たちも十分幸せな生活をしているではないか、とも思う。ただ、彼女は、イラン・アフリカを取材した時、いつ銃殺されるかもしれない、いつ逮捕されるかもわからない、その恐怖の中での仕事が、最も生きがいでもあった、と書いている。生きがいと幸せ感は違うのか。最終章は、孤独を生きる、であり、離婚を経験し、娘はパリで生活し、彼女は横浜で暮らすことを決意する。あとがきで、当年88歳であるが、まだまだやりたいことが山ほどある、と書いている。最後まで、読者に、生きる勇気を送ってくれる。名著である。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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