オンラインと対面

昨日は月曜日、週始まりの日だが、大手町で会議があって出かけた。固有名詞を書いてもいいだろう、三菱みらい育成財団の理事会である。理事は9名からなるが、三菱グループのお歴々が7名、外部からは著名な坂東真理子昭和女子大総長と自分であるが、なんとなく肩身が狭い思いがするには、皆さんの肩書が凄いからだろう。この理事会の数日前にも、事務局からオンラインで事前説明を受けていた。その時は、およその内容は知っているので、その通りで、とあまり深くは考えなかった。昼食が終わってからが、会議だが、事務局長から説明があって、その後は自由な質疑応答になった。特に、目立った修正もなく、当たり障りもない質疑応答で、それが理事会やアドバイザリー会議などの定番であることは、誰も納得している。この日の理事会は、意外なほど活発な議論があった。これは、平野理事長の懐の深さとも言えるが、何を話しても、思いついたことなら、いいではないか、という雰囲気があったからである。自分も、昼食の時の硬さが取れて、ふと思いついたことを、自由にそして楽しく話した。そして、何故だろう、と考えた。一昨日の日曜日、NHKの小さな旅の番組を思い出した。佐賀県有田町での取材で、有田焼を作る原料である白磁を含む石を採取してこれを土にする職人へのインタビューが、興味深かった。陶磁器を作る職人を、作家と呼び、その作家の要望に応じた土を提供するが、それは石から土にする時に土が発する声を聞いて、その声に応じるという。つまり自分が作っているのではない、と言っている。それは陶磁器の土つくりに限らないのではないだろうか、と思った。理事会で自分が発言できたのは、自分ではなく、ふと気付いたから、であると思えば、自分が創り出す、オリジナルなアイデアや考え方は、ほとんどない、のだ。それは、現実とか状況が生み出したもの、と考えれば、オンラインと対話の違いが見えてくる。生み出す元は、状況であり場であると思えば、現実に人に接する対面の意味は重い。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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