昨日は、朝9時半から夜8時半まで、4つのオンライン会議で1日が密だった。会議もあれば理事会も研究会もある。中でも、研究の一環としてのオンライン授業参観は、価値があった。前にも書いた通り、科研費で研究を遂行しているが、コロナ禍でなかなか学校訪問ができない状況なので、これが素晴らしいチャンスだった。ただただ、有難い。研究のテーマは,大雑把には、社会のモデルと学校のモデルの統合、と言ってもよいが、どのように学校は、社会の動きに対応していくか、である。この日は、3人しか生徒はいなかった、というのは、たぶん、放課後の時間を使った研究なので、ボランティアで参加してもよい、という生徒だけなので、少なかったのであろう。授業でも講演でも何でも、参加者数は、話し手の意欲を大きく左右するもので、大学の多人数対象の大講義室でも学生数が減少していくと、ドアを開けるのが怖くなる。こんな経験は、大学教員なら誰でもしている。小中学校の先生は、授業の生徒数が減らなくていいですね、と言ったら、先生方が目を丸くしていたが、それは本音である。タレントや芸人にとっては、観客数が減ると、身を切られるような思いをするだろう、と思って、同情を禁じ得ない。話を元に戻すと、この講師は人数をまったく意に介せず、楽しそうに、主に科学実験の指導をしていた、が、自分には専門外で内容は分からなったが、指導の合間に話す言葉に、引き付けられた。生徒たちの実験は、一部で失敗した、のだが、良かった、実験が失敗して、と楽しそうに、生徒に語った。怪訝そうな顔の生徒に、自分の大学での科学実験は、よく失敗をした、そのお陰で、それと同じ原因の失敗は2度としないようになったから、と言っていたが、この講師は教師ではなく研究者であった。つまり、学校のモデルではなく、社会のモデルが学校に入ってきたのである。そのモデルによって、これまで聞いたこともないような言葉、本物の生きた言葉、を聞いて、生徒たちは、たぶん大きな財産を得たのではないだろうか。参観して良かった。