昨日は、久しぶりに新幹線に乗った。岩手県盛岡市で講演があったからだが、大宮で乗車して、仙台、次が盛岡なので、乗車時間は2時間もかからず、こんなに楽とは知らなかった。会場近くの公園などの木々は黄色や赤に染められて、それが真っ青な空をバックにして背伸びをしている光景が、みちのくの自然だと思わせる。講演まで少し時間があったので、近くにある盛岡城跡の公園まで歩いたが、北上川のほとりは、吹く風も暖かく優しい。これからの仕事を忘れるような散歩だった。仕事が終わって、帰りの新幹線では、小説を堪能した。行きの新幹線では、パソコンをにらんで資料の見直しをするが、不思議なもので、やはりミスを見出して修正をする。帰りは、簡単な土産を買って、小説を読むと、その世界に引きこまれて、昨日の小学生の詩のように、自分だけの映画館が始まる、と、あっと言う間に大宮に着く。そして、自宅までの電車の中でも、小説の続きを読んでいる。いつかのブログでも書いたが、小説を読むのに、どこか小さな罪悪感があって、禁止していた時代があったが、帰りの新幹線の中は、誰にも遠慮はいらず、自分だけの映画館であり自分だけの世界に浸ることができる。今はできないが、海外出張で飛行機の中の映画鑑賞も好きで、いろいろな映画を思い出す。藤沢周平の武士の小説を映画化したものなどは、特に好きだった。暗い機内だと、涙を流しても分からないので、感動する場面では有難かった。新幹線や飛行機の中は、自分だけの物語の世界で時間を過ごしているのだろう。確かに至福の時間かもしれない。