研究発表

昨日も、オンラインで一日暮れた。午前は、初めての経験だが、科学系の学会の年次大会がオンラインで実施されて、講演を聴いた。およそ研究発表の定番は、研究仮説を立て、デザインして実験か実践をして、得られた結果と課題を述べるストーリであるが、もちろんこのスタイルに誤りはなく、それを外れると基礎を知らない、と指摘される。その基礎を習得した上で、新しい方法やデザインを工夫するところに面白さがあるが、その講演は、その通りだった。何か調査をすると、この場合は、科学技術や子供向けのの理科実験であったが、その調査や実験に参加する大人や子供は、元々興味関心があるのだから、得られた結果が仮説通りになるのは当たり前ではないか、むしろ大多数の人は、科学嫌い、理科嫌い、技術嫌いなので、その人たちを対象にした研究でないと、土台が間違えているのだから、結果を一般化することができない、という発想から出発している。面白い。誰でも感じているが、それを真正面から取り組むには、勇気が要る。ips細胞を知っていますか、AIって知っていますか、と聞くと、プイとそっぽを向いて嫌がる大人を相手にして、どのように研究を進めるのか、と問われると、その通りだと納得する。それは研究になるのか、論文になるのか、大学に籍を置くものなら、誰でも頭をかすめるので、果たして成果は出るのか、時間の浪費にならないのか、と不安になるのは当然で、先に述べた定番のストーリで研究を行うことが多いのである。だから、この研究は素晴らしい。この先生を動かしているのは、業績ではなく、使命感ではないか、と思った。学校の教員は、できない子供が楽しく勉強するには、官僚や政治家は、多くの国民がより良い生活をするには、もちろん医者は苦しんでいる患者の病気を治すには、と知恵を絞り努力をするのだから、使命感によって動いている。知識や技能の前に、使命感がある。そして使命感がある人は、前を向く。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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