自営業

在宅勤務になると自宅が職場になる、つまりある意味で自営業になる。在宅勤務に慣れない人、時間の使い方に戸惑っている人、どこか腰が落ち着かない人など、いるだろう。気持ちは分かる。定時に出社して、デスクワークや会議や来訪者と面談をし、定時になったら帰宅する、夕餉の食卓が楽しいという1日は、平凡ながら幸せな生活と言える。仕事でうまくいったら生きがいもあり、家族に少し自慢話をしながら、悪くない人生だと思ってテレビを見ている光景は、テレビドラマそのものだ。それが在宅勤務になると、仕事様式も生活様式も違ってくるので、戸惑うのは無理もない。だから、気持ちは分かる、と書いた。しかし、自分などは始めから自営業なのだ。法人という名を借りているが、それは軒下を借りているだけで、そこに自分はない、という言い方は少し誤解を生むかもしれないが、Identityは職業にあり法人にはない。つまり、教育研究家とか教育評論家とか教育を対象にした職業であって、大学名や組織名にはあまり依存していないので、教育研究という職業を持った自営業なのである。大学にいる人は、たぶん似た感覚を持っているだろう。これからの時代は、企業人ではなく職業人としての生き方が求められるだろう。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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