オンライン学習とメディア特性

オンライン学習と言っても、いろいろな種類がある。テレビ会議システムであるZoomのような同期型と、Googleやマイクロソフトなどが提供しているクラウド上の電子掲示板のような非同期型がある。どちらも有効なツールで、コロナ禍の影響で先生方も利用し始めたが、コロナ禍後も、このようなICTツールは活用されていくだろう。学校の先生方は、映像を見ながら音声で対話する同期型の経験は、これまでほとんど無かった。英語の授業や国際理解教育などの単元で、海外校と交流するツールとして用いられてきた程度であるが、今回のオンライン学習では日常的なツールになった。私も何度もZoomやTeamsなどを使って、会議、打ち合わせ、顔合わせをしている。身近なところでは、都内に住む子供や孫たちと定期的に顔合わせをしている。LINEともメールとも、もちろん電話や手紙とも違う。その違いは、顔が見え、声が聞こえ、双方向で、リアルだということだろう。普通の会話であれば、これで十分であり、これ以上のメディアはない。しかし、これが授業や学習のツールになると違ってくる。家族であっても、定期的になると話題が切れてしまうので、孫たち向けに問題やテーマを投げかけているが、これが難しい。飽きていることがすぐに分かるし、親や兄弟と別の話をし始めることもすぐ見える。リアルに表情が送信されることは有難いと同時に、情報量が多すぎて、どうしたらいいかと頭を常に刺激してくるのである。小学校の先生方の素晴らしさが身に染みた。一方、テーマや話題が孫たちの心を引き付けると、まるで飛び跳ねる魚の群れのように、画面が盛り上がる。親同士もテーマに入ってきて、3家族、合計10名の楽しい座談会になる。先生の腕の見せ所は、ここなのだと納得した。メディアはやはり道具であった。

投稿者: 赤堀侃司

赤堀侃司(あかほりかんじ)現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。

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